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レイ・カーツワイルの未来予測を支持するシンギュラリティ信者(笑)

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ナノフューチャー -21世紀の産業革命-

技術的特異点の関連書籍で、またひとつ大推薦の1冊。
といっても、邦訳版が出たのは脳内評価最高ランクの『ポスト・ヒューマン誕生』とほとんど同じ、今年の春先の刊行。そして読んだのは6月も中旬の頃だから、けっこう遅刻情報ではあるけれど。

ナノフューチャー―21世紀の産業革命

ナノテクノロジーは、~中略~ 人間とチンパンジーの違い、いや、人間とカブトガニの違いすら超えた生物学的な変化を、人間の生体に引き起こす可能性がある。その時代は、ひょっとしたら一○年以内に、おそらくは二五年以内に、そしてほぼ確実に二一世紀中には訪れるだろう。

いきなりこれだ。カーツワイルとほぼ同じタイムスパンで、人間が変わることを示唆している。
もっともカーツワイルが『スピリチュアル・マシーン』や『ポスト・ヒューマン』で述べている「フォグレット」や「ユーティリティフォグ」は本書の著者J・ストーズ・ホールの発案になるものだ。スタート地点が同じなのだから、到達点も近いのは当然だろう。

ホールによれば、
みな政治的変化は過大に予言する一方で、技術的変化を過小に予言してしまう。

との由。ナノテクノロジーの発展には5つのステップがあり、現在は2段階目でしかない。まだまだ実験室レベルの話という。ここから地続きで直線的な技術発展を予測するのは容易だ。

しかしこれが4段階目、ありふれた分子からナノテクシステムが合成できるレベルに達すると、いきなり社会の様相が一変する。安易なSFに描かれる、電子レンジのような家庭用合成機の普及は単に入口程度に過ぎない(これだけでも想像を絶するくらいの社会的変化だけど… ガスや水を供給してやるだけでたいていのものが合成できるのなら、産業構造が激変するにとどまらず、たぶんモラルまで変わってしまう)

物理法則を無視しない範囲なら、ドラえもんの四次元ポケットから出る道具もかなりの部分が実現可能になる。なかでもこれまでイメージしたことがなく新鮮だったのは、この段階初期の人型ロボットだ。厚さ5ミクロン程度のダイアモンドの薄膜でできており、その厚みの中にCPU、折りたたみ可能な構造、モーター、局所的なコントローラー、通信・電力ネットワークなどが収められるという。

普段は人間の仕事をすべて代替わりする有能な執事であり、使用しないときは丸めればボールペン程度の容積(重さは30㌘以下)になるとの予測。吹けば飛んでいくほどの、人型風船といって差し支えない。さらにこいつを着込めば極地や真空中でも快適に過ごせるという、超便利な風船。

ただし、これもあくまで過渡期の存在だ。この段階をさらに一歩進めれば、ユーティリティフォグ(霧状のナノマシン、「フォグレット」の集合体)になると、待機時は文字通り雲散霧消してしまう。

ユーティリティフォグが大気中を覆う時代が来ると、もはや現実とバーチャルは区別がつかなくなってしまう。ホールの描く世界が現実化すると、もはやハリー・ポッターの世界観と区別がつかなくなるに違いない。

不可視のフォグレットが瞬時に凝集・可視化することで、ドラゴンやトロルを実際に出現させられる。大気中に充満したフォグレットに押し動かされるかたちで、ホグワーツ魔法学校の食堂に浮遊するロウソク群や、ウィーズリー家のおんぼろな空飛ぶ自動車、クィディッチ競技でほうきに乗って空を飛び回ることもできるだろう。

そしてこのレベルに到達するまでに、脳のナノマテリアル置換も始まっているという。

ホルモンバランスの作用などの化学的な信号回路や、ニューロンがもつ機能をシミュレートする。そうすることで現在の脳より圧倒的に省スペース、かつ脳はおろか、現在のCPUなど比較にならない高速で動作する新しい脳ができあがる。

このオーバースペックというのもおこがましい爆発的な処理能力も、自分の意思決定や作業処理を支援するAIを脳内に置くことで有効活用できるという。そしてその支援AIの数たるや、アタマの中に高度に専門化されたメンバー20万人を置いたようなものであり、一人一人の人間がひとつの都市のような存在になっているという。

このビジョンに興奮しない人がいるだろうか?

個人的には、ずっと解決できない疑問として「コピーされた意識はもはやオリジナルとは別の意識ではないか? コピーされた意識が無限に生きたとしても、オリジナルは現状通りではないか?」というのがある。それについても、段階的に移行が行われるのであれば以前の自意識と移行後の自意識は連続しているかもしれない、と思えるようになったのは収穫だ。

※この考え方は、生命の動的平衡状態を「波打ち際に作られた砂の城(ただしずっと流されずもちこたえる)」にたとえた詩的な一冊、福岡伸一氏『生物と無生物のあいだ』を同時期に読んだことも効いたと思う。(本書のあとがきなどは純粋に文章としても絶品。ただし、氏が生命の不可侵さをあまりに強調しすぎるのには、違和感を覚える)

生物と無生物のあいだ

また、ビル・ジョイがかつて憂えた「ナノテクの野放図な進歩は地球全体にとっての脅威だ」とする懸念に対しても、明快な対策を打ち出している点はうれしい。暴走するレプリケーターによって、かつてのB級SF映画『人喰いアメーバの恐怖』みたいなものに人類が食い尽くされるわけでは(必ずしも)ないことがわかり、一安心?だ。
マックィーンの絶対の危機 (ピンチ) 人喰いアメーバの恐怖 ENTERTAINMENT COLLECTION SILVER

まだまだ書きたいトピックは山ほどあるものの、そこはぐっと我慢。
あまり他人に本を薦めない私でも、本書はぜひ読んで欲しいと思う。

本書はカーツワイルの「ポスト・ヒューマン」と両面をなし、補完する存在だと思う。カーツワイルの方は「なぜテクノロジーの爆発的進化が我々の直感的感覚よりも早く訪れるのか」に説明の多くを割いているが、こちらは未来社会のビジョンをほぼ共有しつつ、より具体的な描写を行っている。カーツワイル本と併せて、強くお薦めしたい。
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アメリカの田舎町に落ちた隕石には変形菌|粘菌状の宇宙生物が付着していた。その塊 (blob) はあたりの生物を捕食して増殖していく。その存在を知った若者がガールフレンドとともに立ち向かっていく。・ナノフューチャー -21世紀の産業革命-・マックィーンの絶対の危機 人喰
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