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Author:terra
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ロードバイク物欲派。
レイ・カーツワイルの未来予測を支持するシンギュラリティ信者(笑)

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特異点は近い

『スピリチュアル・マシーン』を読んでいるとき、タイミングよく原著で最新刊が出た。『The Singularity Is Near』だ。

早速これも購入して、辞書と首っ引きで読んだ。
…しかし、途中で挫折。
翻訳の登場を待ちのぞんだ。アメリカでは話題になっているようで(なにしろ著者はJavaの生みの親、ビル・ジョイに“科学技術の発展を制限しなければならない”と本気で言わせたほどの人物だ)、即、邦訳が出ると思っていたが、ずっとその気配はなかった。
日本ではこの手は受け入れられないのかと落胆して2年近く過ぎた頃、ようやく今春にNHK出版から翻訳が出た。

ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき『ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき』

率直に言うと、翻訳版の書名はなんとかしてほしかった。

凡庸だし、原題とは無関係。
あたかも身体性の変化だけを描いているかのように矮小化しており、損だと思う。カーツワイル自身も本文中で、「ポスト・ヒューマン」という表現に否定的なスタンスを明らかにしているのに。

もし私が編集を担当したなら、原題から直球で『シンギュラリティ』一語の邦題にしただろう。
目新しい単語にすることで、話題性を狙うべきだろうし、ひょっとすると流行して人口に膾炙することもありえると思うけれど…

余談ながら、SF小説で日本ですでに「シンギュラリティ」を使った
チャールズ・ストロスの『シンギュラリティ・スカイ』が先行している。
エンキ・ビラル的な沈鬱な星間帝国と、ヒエロニムス・ボッシュ的な
おどろおどろしい惑星世界の対比という、筋よりもアタマの中には
そんなビジュアルばかりが残る作品ではあるけれど。


また、原著に記されていたコラム類が割愛されていたり、『スピリチュアル・マシーン』から継続登場している狂言回し的女性キャラ(実はカーツワイルの別人格でもある)が脚注なしで出てくるなど不親切な部分は多い。

しかし、それでも私には翻訳の登場はものすごくうれしかった。

高価な書籍の部類に入るが、たとえこれの十倍や二十倍払っても、読む価値はあると思う。実際、購入した本は読むのが惜しく、通読用にわざわざ図書館で借りたくらい(笑)。

『スピリチュアル・マシーン』よりさらに先の未来、そしてそこに至る具体的なステップが描かれており、衝撃度でいうと一段も二段も上回る。人生のうちで、ここまで視点を揺さぶられる書物との出会いは、そうそうないとすら思う。

突拍子もない道具立てのSF小説ならそれなりに読んできたが、本書以降、もはや私の中で生き残っているのは、グレッグ・イーガンくらいしかいない。

その突拍子のなさは、ぜひ本文にあたって欲しい。
論理のハシゴを辿りながら読まないと、

あと100年するかしないかの間に、太陽がダイソン球で包まれている──という予測など、カケラも信じられないだろう。

しかもそのダイソン球を構成する素材そのものが途方もないコンピューティングパワーをもつ知性体であり、それはいまこの瞬間に生きている私たちの未来の姿だなどと。

そして遠い末裔ではなく、ほかならぬ私たち自身が永遠の生命を得、自分や自分の人格から派生したコピーを宇宙全体に(そしてこの宇宙を超えて?)広めているかもしれないなどと。

──ここまでくると、もはや虚言や妄想の類にしか思えないにちがいない。

懐疑派によっては、彼が主張する「収穫加速の法則」の論拠となる歴史的事実はどれも、都合のよい部分だけをピックアップしたものだと反論するかもしれない。

しかし、彼のこれまでの輝かしい実績──OCRの発明者であり、シンセサイザーの開発者──を考えれば、単なる大風呂敷とは片付けられないだろう。

このビジョンに触れれば、私など「理屈はいいから、そうなってほしい!」と願わずにいられない。
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