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2011パリブレストパリ参加記 13 DNF

ここから先は、当初書くのをためらっていました。

完走もしていないのに、これ以上書いてもしようがない、との葛藤があったためです。

でも、将来のPBPで不運にもDNFになった人の一助になれば。それなりに意味もあるかと記しておく次第です。



■第9PC Tinteniac(867km)DNF、その後


タンテニアックのコントロールに着き、通過チェックを完了。時刻は23日の0:31。ルデアックからだと、85kmで5時間。思いのほか悪くない気もするけれど、最初のペースなら3時間で来れただろう。とはいえ、残りまだ35時間29分。ここのクローズ時間までだって、8時間以上の猶予が。

実はまだ完全には諦めきれず、以下のように考えてしまいました。

リミットまでおよそ36時間。残り360kmを平均10km/hで行けばいい計算だから、ケンケン乗りでも行けるんじゃないか? あるいはここで、20時間の「超ウルトラ大休止」なんかはできないか? 膝が回復したら、残り16時間で360kmを走ってもいい。

…これまでのBRMの自己ベストでは、400kmで16時間7分、300kmで12時間43分。じっくり休めば、今回もそのくらいのタイムで走るのは不可能ではないだろう。

でも、却下。
各PCには通過制限時間がある。そんなことは許されない。

(しかしあとで聞いたところでは、途中のPCを大幅にタイムアウトしても大目にみてもらえていたとか。とにかく総合の制限時間90時間内に辻褄が合っていればOKとか。まあ20時間の超ウルトラ大休止が無理でも、10時間ずつ二連発なら、手法としては多分アリでした。)

今後のことをぼんやりと考えながら座っていると、さっきのポルトガルの青年が通りかかりました。調子はどう? と声をかけてもらったけど、色よい返事はできません。「そうか、さっきのアドバイスは価値がなかったね」と言われて、一瞬なんと返事をすればよいか窮します。ああ、もっと語学ができれば、相手のことを思いやった返事ができるのに!

でもその彼は、そんなことを気にするふうでもなく、さらにアドバイスをくれました。ドクターにはみてもらった?まだ?じゃあ行くといい。それでもダメだったら、電車で帰ることになるよね。その場合はクリートを一旦“デクリート”して、少し前に移動しておくと歩きやすくなる。グッドラック」
また颯爽と立ち去って行きました。異様に格好いいと思ったら、首から下がったIDには大きくVIPの文字が。そうか、ポルトガルのオダックス運営者だったのね。どうりでテキパキしてたんだ。デクリートなんて単語始めて聞いた、さすが運営者。妙なところで感心。

医者にかかることを勧められたけど、もはやすぐに良くなるとは思えないので、まずは食事でも摂りながら対策を練ろう。

今回のツアーに際して資料に同封されていたフランス全土の地図を眺めながら、カフェテリアで食事。リタイアした際に主催者は一切手助けしてくれず、自己責任で帰ってくる。これがブルべの鉄則。ところが今回iPhoneを忘れて来たので、どうやって帰るかがほぼノーアイディア。ネットで交通手段を調べることも不可能です。使えるのはこの、やたら大縮尺の地図と、あとはGPSに入れたGarmin City Navigator/France Benelux編のデータのみです。

やはり距離を考えるなら、フランスの新幹線、TGVを使うべきだろう。出発前の数日で、TGVには自転車を直接持ち込める、という情報を聞き込んでいました。それを知らなければ策が思いつかず、この場で途方に暮れていたはず。しかし、一体どこから乗ればいいんだ?



それよりも…そもそも、ここはいったいどこなんだ???(爆)



…たとえば、あなたは日本を走っているとします。でも日本語に不慣れな外国人であり、本州の中央部のあたりにいることはわかっても、そこが長野なのか岐阜なのか山梨なのか、がわからない…判断材料は、大縮尺の日本地図のみ。

いま私が置かれているのは、まさにそういう状況です。おおざっぱにこのあたり、というのはわかるけど…
幸いなことに、Garminのサイコンをもっており、そこにはフランスの詳細な道路地図をインストールしていました。

確かうろ覚えでは、Quimperという都市がTGVの停まる最寄駅だったような…GPSで調べると…ああ、ダメだ! ここから171kmもある。っていうか、今いるタンテニアックってそもそもどこだっけ? GPSで現在地とフランス全土の地図を見比べ、ようやく相対的な場所が把握できました。なるほど、QuimperよりもRennesのほうが全然近い。Rennes駅(ギャレー・ド・レンヌ)まではナビゲーション計測で27km。うむ、これなら行けるだろう。TGVの停車駅はフランス国内でも限られているのに、こんなに近い場所にあることに感謝します。

…しかし。仮にたどり着けたとして、自転車が載せられなかったらどうするよ? 自転車で動けない以上、その時点でダメッ…アウツッ…! 自転車が持ち込めるのか、きちんとウラをとっておかねば。でも、どうやって? そうだな、ここのスタッフは地元のボランティアのはず。スタッフに聞くのがいちばんだろう。

…こういうことを、スラスラと考えたわけではありません。机に突っ伏したまま、寝たり醒めたり現実逃避しながら考えたことです。結論が出るまで、3時間ほど経過してしまっています。

さて、睡眠も多少とったし、最後の望みをかけて、医者にかかっておこう。別棟に移動し、救護センターの場所を尋ねます。深夜にもかかわらず、中学生くらいの男の子がスタッフをやっています。彼に向かってMedicale(メディカール)?と訊くと、すぐに救護センターに案内してくれました。部屋に通されると、憔悴しきったような参加者が数名座り込んでおり、これまた数名の医療スタッフが対応に当たっています。

私のところには、40代前半くらいかな、少しぽっちゃり目のブルネット女性が来てくれました。表情が何ともいえず、優しそう。見ているだけで癒されます。

ええと。膝がひどく痛いんですが。

うっ! 通じない。この人たち、英語はダメなのか…まあ、私の英語だってクソ、シット、メルドそのものだけど。それでも、痛い場所を指で示すとわかってくれた様子。難しい医学用語とおぼしきフランス語で質問して来ます。今度はこちらがわからない、と肩をすくめる番。でも、委細承知したという按配。すぐに、医療用の軟膏を塗り始めてくれました。このときのやさしい、慈愛に満ちた手つきといったら…! ひとつ前のシークレットでこういう治療をしてもらっていたら、あるいは悪化せずに済んだかも。そうは思うものの、もはや後の祭り。その後アキレス腱側も、じんわり優しいマッサージ。それでも、やはり治るというわけにはいかず。でも、救護はあくまで救護。ビュッフェのような高い料金を取られることもなく、ブルべカードを見せて二、三質問に答えただけで返してくれました。

体調が良いままなら、こんな体験もできなかったよね。ラッキー、と思うことにします。

さて、再びコントロールのある建物へ。到着からすでに3時間半も経過。4時を回っています。確実を期すために質問事項を紙にも書いて、コントロールの通訳担当に話しかけます。すると、趣旨は完璧に伝わりました。TGVには自転車を直接持ち込める車両はある。「でも」とその50代後半くらいの女性。「レンヌまではここから35kmあるわよ。あなたその脚じゃ無理でしょう? レンヌに行くなら、ローカル線になるけどCombort(コンボウル)に行きなさいな。そっちだと11kmくらいだから」とのこと。そして、オルガニザシオーンのTシャツを着ているおじさん(=「運営事務局」くらいに理解)にも確認しているふう。するとそのおじさんはこちらを見やりながらひとしきり何か喋り、そのまま席を立って行ってしまいました。英語の女性が再び、「今話してたんだけどね、知り合いにあなたのバイクごとクルマで送ってってもらえることになったわよ」とのこと。マママ、マジですかー! いやでも、レンヌまで自走のつもりでいますけど… 遠慮しつつ、ご厚意に甘えます。

そのまま待つこと10分。縁なし眼鏡、ダンガリーシャツにグレイのチノパンという、何気ないけどそこはかとなくおしゃれな三十代後半くらいの男性が現れました。「ハイ、呼んだ?. 誰がGermanyまで行きたいって?」え、いきなりフレンチジョークですかーっ? 周囲から説明を聞き、ダコー(OK)、行こう、と鍵をぶら下げなから出て行く彼。

私は先ほどの通訳女性に礼を述べ、ブルべカードを回収してもらいます。コントロールルームの壁にはABANDONというリストが貼り出され、そこにはすでに何人か日本人らしき名も。そっか、私も間もなくここに名前が出るんだ…

送ってくれることになった男性と自己紹介。彼はクリストフというそう。ひとけのない裏手の駐車場まで、自転車を押しながら一緒に歩きます。

最初のジョークでちょっと引きかけてしまいましたが、二人で歩いていると、ポツリと「900km走りおおせたんだから、大したものだよ。僕にはとてもできない」と云ってくれました。思わず涙がこぼれそうになったのは内緒です。

駐車場で、プジョーの3シリーズワゴンにバイクを積み込んでもらい、出発。

…さっきまで何十時間も自転車に乗っていたのに、今はクルマの助手席。そしてぎこちないおしゃべりをしながら、ハイウェイを130kmオーバーで移動中! 予想外の展開に、目眩がしそう。しばらく拙い英語で世間話をしました。クリストフはいま向かっているレンヌから来ているであること、彼自身もロードバイクをやっているけど、スピード重視で最高でも280kmしか走った経験がないこと(亀な私からすると、むしろそちらの方がすごいと思う)、などを教えてくれました。ほかにも、日本のどこに住んでるの? とか、東京ってどんなところ? 日本のクルマってUKと同じでハンドルが逆なんだよね? とか、沈黙しないようにいろいろ気遣ってくれる、とてもやさしい人物。レンヌ駅の地下駐車場にクルマを入れてからも、チケット売り場まで案内してくれました。

今は5時ちょうど。チケット売り場のオープンは5時40分。こういうことも一人ではわからなかったろうし、チケットのフランス語表記なんかもわからないから、ひたすらオタオタしたはず。ここまで案内してもらえて、感謝してもし切れません。丁重にお礼を述べ、握手をして別れます。最後にくるりと振り返ると、「チケットを買う時はバイクを一緒に持ってったほうが、誤解がなくていいよ!」とまでアドバイス。たしかに。本当にありがたい。

From PBP2011


オープン前のチケット売場。
From PBP2011

そのまま時間まで、椅子に座って待ちます。スナック菓子とドリンクを併売する自販機に挑戦したりして、時間を潰します。ようやくチケット売り場がオープン。お客との間のガラスの仕切り全体が、オープンと同時にスーッと下がっていきます。こういう、無駄なギミックに凝るところがいかにもフランスらしいなあ。

「パリ行き、大人一人とヴェロ1台」で切符を買います。ネクストトレイン、と言われたので素直に頷くと、朝一番のではなく、一時間先の列車にされました。ちょっ! でも気がついたのはしばらくしてから。しょうがない。さらにその場で1時間待ち、6:35の便に。予定では8:40着。これで乗車料金が72ユーロ、自転車料金が10ユーロでした。

時間が近づくと階下のホームに下りられるようになり、自転車ごと移動。自転車も私も、PBPを走っていたときの姿のままです。
From PBP2011


レンヌが始発ではないため、停車時間は分単位だろう。自転車を積み込む車両を間違えるとエラいことになるな。確実を期して、駅員に確認します。「チケットにあるこのコンパートメント、どこですか?」見ると、小柄な可愛らしい女性駅員。アイドルが一日駅長をしているのかと思うほど、コスプレ感のある姿。ちらと私のチケットに目をやって、11号車です、と先頭車両方向を示してくれます。

ううむ、一日駅長では不安だ。ほかの駅員にも聞いておこう。

しばらくして、通りかかった別の駅員にも再質問。今度は巨体の上に茹でたような赤ら顔、びっしりと頬ヒゲを生やした、劇画調のご年配。一日駅長さんとのギャップに、エビアンを吹きそうです。自分自身、先ほどからの葛藤から開放され、明らかにハイになっています。車両を確認したところ、結局先頭車で間違いありませんでした。

時間が近づくと、仕立てのよいスーツやいかにも高そうなバッグを携えたビジネスパーソンがゾロゾロ登場。男女とも仕事ができそうな雰囲気です。彼らは2両目、一等車に。そして自転車が載せられるのは、先頭の二等車。乗り込んで見ると、二等車らしく車内は日本の新幹線よりも若干プラスティッキーな印象。でも、なにも不満はありません。自転車はどこに置けばいいのか………見渡すと、それらしき空間がありません。向かい合わせになった座席ばかりのところに、一箇所だけ4席直列の場所があります。でも、そこには若いお兄ちゃんが長々と横たわっています。

ええと… 私の場所はそこだと思うんだけど…
お兄ちゃんに問いかけると、彼は寝ぼけたふりをして無視しようとします。でも、どうやらここしか停める場所はなさそうなんだよね。

困ったなあ…しばらく逡巡していると、そばで見ていたワイシャツにネクタイ姿の男性が介入してくれました。もちろんフランス語なので詳細不明。でもきっと

「おい、そこ自転車用だろう! どきなさい!」

という感じでしょうか。

お兄ちゃんを後ろの車両口に追い出すと、席を立ってきてバイクの固定方法をレクチャーしてくれました。見ていると、先ほどの4席の座面をパタパタ上げていきます。なるほど、空いた空間に自転車を。そして、背もたれ部分からシートベルトを2本スルスル。フレーム前後に固定しろというジェスチャーです。わかりました、あとは自分でできます。メルシー。それ以外にも、壁の下部からベルトを伸ばして、ペダルをくるんで固定しつつ乗客のズボンの裾を汚さないように、という仕掛けも発見。みごとに、車両内に自転車が固定できた! 

From PBP2011

私はその真横の席が指定されており、自転車を常に視界にいれながら座っていることができます。多分こういうことはスマホがあれば調べられたんだろうけど、ほんとに知らないことばかり。ようやく安心して、安心しすぎて日本の電車のように爆睡してしまいました。これから36時間かけて帰ろうと思っていたパリに、あっという間に到着。目が覚めた頃には、パリの中心部。モンパルナス駅に入線するところでした。

TGVと自転車。シュール。ちなみにフランス語でTGVは「ル・テジェヴェ」というんですね。
From PBP2011


モンパルナス駅に到着。さて、次はどうしよう。

From PBP2011
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Comment

おつかれさまでした。

当地では食事などご一緒させて頂きありがとうございました。途中経過でTerraさんの状況を確認したときにはかなり先行されていたので順調に走られているものだと思っておりました。遠路遥々やって来たフランスでのDNFの決断、やはり壮絶なドラマがあったのですね。私も始めてDNFした時には結構へこみました。その後膝の具合はいかがでしょうか。早い回復をお祈りしております。どうぞお大事に。

時刻表には自転車乗せられるTGVは自転車マークあるんですが、わからないですよね。わたしは、レンヌまで適当に走ってローカル線でいきました。しかも車掌さんがpbpだとわかると6.5ユーロの電車代を無料に。粋ですね☆

No title

ejitomさん、こんにちは。

完走おめでとうございます。宇都宮シュペール・グランペールの称号といい、さすがです!
DNF、凹みますね。自分では調子がよいと思っていたので、原因がいまひとつわかっておらず、今後に不安が残っています。
ところで、923のFlecheはDNSなのでしょうか。ここでもご一緒できることを楽しみにしていたのですが、だとしましたら、残念です。

あらためて、別の場所での再開を楽しみにしています!!

No title

bossaさん、こんにちは。

PBP&長期のバカンス、おつかれさまでした。また、スタート前のランチ(気分的にはミールですよね)に混ぜていただき、ありがとうございました。

なるほど、DNF後の余裕度が全然違いますね~
私は情報入手の手段がないうえ、語学もからきしなので不安で不安で…

車掌さんが料金ナシにしてくださったのは、PBPが理由というだけではなかったと思います☆ 相手がおっさんだったらしっかり徴収されていたかも…

レンヌ駅

レンヌ駅の写真 久しぶりに見ました。

レンヌ駅は、日本人観光客ばかりが集まる、モンサンミッシェルの最寄駅です。そこからモンサンミッシェル行きのバスが出ていますから、朝1番の到着列車(パリからの)には、必ず10人前後の日本人が降りてくると思うのですが・・・。

挑戦記楽しく拝読しています。

Re: レンヌ駅

遅くなってごめんなさい。そうなんですね。

たしか明け方5:30頃から7:30くらいまでいたと記憶しています。
ひょっとすると、東からの列車はまだ着いていなかったのかもしれません。

でもそれより「自転車を盗まれないように」「まちがった電車に乗らないように」
といったことばかり意識して、気持ちが張り詰めていたので
周囲のことはほとんど見えていなかったのだと思います。
非公開コメント

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